ノリ不作をもたらすクロダイによる深刻な食害の実態

                            
2021年1月
島田裕至
千葉県水産総合研究センター東京湾漁業研究所

 
 千葉県のノリ養殖は,平成27年度漁期からノリ葉体が切れて短くなる短縮化症状を原因とする不作が継続している。短縮化の原因を調査した結果,クロダイによる食害が主な原因であることが明らかになったので,その実態を報告する。
 
 2019年11月30日に千葉県新富津漁協のノリ浮き流し漁場において,ノリ葉体が5㎝程度まで伸びたノリ網に水中カメラを設置して連続撮影を行った。午前9時前後に数匹のクロダイが出現し(図1-A),2時間後には数十匹が蝟集して競い合うようにノリ葉体を食べる様子が確認された(図1-B)。そして,3時間後には1㎝程度まで短く食べ尽くされた(図1-C)。
 
 現在,クロダイの食害対策として,防除ネットを設置しない場合にはノリが全く採れない状況に陥っている。一方,防除ネットは摘採や活性処理など養殖作業の度に一時撤去と再設置を繰り返す必要があり,生産効率の著しい低下を招いている。また,ネットによる防除効果は完全ではなく,僅かな隙間からクロダイが侵入したり(図2),防除ネット越しに外側からノリ葉体が食べられる状況も発生している(図3)。
 近年は東京湾以外でもクロダイ食害が報告され,全国共通の問題になりつつあることから,忌避装置など防除効果が高く作業の省力化が図られる対策技術の開発が望まれる。

A
 
B
C
1 クロダイに被食されるノリ葉体の時間的変化
A0分, B:120分後, C:約 180分後)
※画像をクリックするとそれぞれ大きく表示されます。
 A
B
2
クロダイが防除ネット内に侵入する瞬間(A)
と侵入後にノリを食べる状況(B)
※画像をクリックするとそれぞれ大きく表示されます。
3 防除ネット越しにノリを食べている状況
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