海の森づくりニュース

発行日 2002年12月15日
編集  海の森づくり推進協会
     埼玉県熊谷市月見町1−104
п@   048-525-6103
メール urasimataro@nifty.com

No10
12月4日付けで特定非営利活動法人の認証を受けました!入会のお誘いがし易くなりました!
今回も斉藤理事の投稿です。

 パネル展・講演会のお知らせ

期間 218日(火)〜24日(月)

会場 フォーラム横浜・交流ラウンジ(横浜ランドマーク13階)

    23日(日)には門脇 秀策(鹿児島大教授)の講演会や海藻押し葉講習会も開催されます。

 

徳之島にて藻場・海中林造成(浮沈・延縄式)技術指導者養成講座が12月13日〜15日沖縄ピースコーストとの共催にて開催されました。15日には松田 恵明代表理事も挨拶に駆けつけました。詳しくは追ってお知らせいたします。

『土ごと発酵』は海と山の複合ミネラル 〜海水利用について〜

田畑に有機物を撒いて“土ごと”発酵させる(微生物の活用)。発酵に当ってミネラル溶液を発酵促進等に利用する方法を、農山漁村文化協会・農文協は“土ごと発酵”とネーミングし、普及を推進しています。また農業技術者や篤農家は、“土ごと発酵”用“ミネラル溶液”として海水を取水・使用しています。“海域の資源が陸圏で大いに役立つよ”という応援団が現れたことは心強い限りですし、土壌改質に最も効果的なものとして、海藻、ことに“コンブ”を絶賛してくれています。コンブの肥料効果等、詳しい内容について境一郎 著『コンブが地球を救う』水産社 刊 に記述してあります。是非参照して頂きたいと思います。

また、海水利用としてよりよい方法を以下提言します。

 

1. ミネラル種類とバランス(土壌微生物に好ましい方向が予測される)が補正される。『陸のミネラル』との混合利用を

「海」にも「陸」にも精通する境一郎先生は、海中でコンブ等海藻の養殖・成長促進にわざわざ陸のミネラル溶液をベースにしたものを使用することで好結果を得ています。ことミネラルに関しては、わたし達は、陸のミネラルの植物成長促進の詳しいデータを持っており、陸にミネラルをベースにしたほうがミネラルの種類やバランス的には好ましいと考えられ、以下検証します。

 

2. 塩害限界濃度を“陸のミネラル”をベースにして塩分濃度を下げる

  現代農業では、海水を原水で利用する人から『500倍希釈しても長期使用のときは好塩菌による添付を勧める』との意見があったり様々です。実際海水等で塩害が発生することがあります。そこで、対策としてミネラル含有量の多い陸のミネラル溶液をベースにして混合・希釈倍率を上げれば、塩分・ナトリウム分が減少するので塩害の危険は少なくなり、なおかつミネラル含有量は海水より増加します。なお、万が一間違って塩害が発生してもコンブを利用すると改善するということですので、そのときは是非コンブを使ってください。また、塩類集積を改善する専用資材がアメリカで開発され、輸入されていますので、海水利用に対して心配は要らないものと思います。(参考資料添付)

 

3. 水の汚染に対する対策として“陸のミネラル”には病害菌を除去し活性化させる効力がある

近頃、海の環境問題が深刻になっています。海水利用についてHACCP方式導入や海水浄化規制が決められようとしています。また、漁業での種苗生産のとき、海水は浄化して使っています。海水が無料だから使うということもあるでしょうが、後々問題が起きないよう海水や希釈水は浄化したものを使用したほうがベストと思います。陸のミネラルには病原菌に対する減菌効果が認められています。

 

4. 適正コストと環境保全のため漁民の協力を

海水は“ただ”で手に入るミネラル溶液と捉えていますが、先々、汚物投棄や作り方・使い方等の思わぬトラブルが起こらないとは限りません。そこで、農民が個人で取水するのではなく海の管理者「漁民」「漁協」と協力するというルール化をし、取水は漁民に依頼し、若干の手数料を払うことが望ましいと思います。それでも反当りの施肥費用は従来の発酵資材と比べて低コストで調達出来ます。

 

5.光合成(成長促進)に必要なミネラルは『海水』にはほとんどない

これまで『ミネラル』について注目されていますが、海水には光合成に必要なミネラル分は、希釈してしまうとほとんど検出されません。植物はC・H・O(炭素・水素・酸素)だけでは光合成できません。実は下図のように微量元素(要素)が必要不可欠です。Mg(苦土)Mn(マンガン)Fe(鉄)Cu(銅)S(硫黄)等が触媒として働いて、はじめて光合成が完成します。なお、近年になって、Ti(チタン)が単体で光合成を合成し促進することが土壌学会で発表され、ビタミンCの合成に関係する元素であることもわかってきました。いわば、光合成に必要なミネラルは『陸』には濃厚に存在し、しかも全種類含有していますが、『海水』はわからないのです。

 

亜鉛

マンガン

 

 

 

 

窒素

モリブデン

 

酸素

二酸化

炭素

苦土

マグネシウム

 チタン

 

 

 

※海水を100倍希釈すると@光合成に必要なミネラルはMgだけとなり、他は痕跡元素だ  

けとなります。また、A「土ごと発酵」こうじ菌増殖に効果があるとすると、大量にある塩素とナトリウムとわずかのMgがあればきくのでしょうか?そうともいえないと思いますので、海水利用についてはミネラル以外のプラスアルファが重要と考えます。

 

6.深層水はこうじ菌発酵促進が確認されている

 さて、1〜5での海水とは、農家がポンプでくみ上げるのですから『表層水』です。この『表層水』は『深層水』と違ってミネラル分が少なく、溶け込んだ有機物(栄養素)が多いのが特長とされています。同じ海水の『深層水』の研究により、醸造(発酵)ことに『こうじ菌』に好結果を出していますが『深層水』研究のミネラル以外の要素が多々あります。農家の皆さんの体験上では、ミネラルを使うということですが『土ごと発酵』=こうじ菌発酵は『表層水のミネラル以外の要素が大きく、海水を加えてもミネラルは依然として不足している』と考えたほうがよいでしょう。そこで、海の栄養素に山のミネラルを追加することでミネラル含有が補正され、ベストのものに変わると考えられます。

 

 

7.深層水は高価なので安価な表層水の活用を!?

さて、沖縄の『深層水』を農業の成長促進剤として売り出しているNPOがあります。この『深層水』は陸のミネラル溶液(1回散布・反当り約500円)の2倍以上の高価格(反当り約1000円)で売られています。深層水とはずいぶん高価なものと、他人事ながら驚いています。

そこで、農家が使える低コスト(反当り200円前後)で、しかも効果が確かなものを提案したいと考え、海(表層水)と陸のミネラルをブレンドしたものを作ってもらい、去る農林水産環境展に参考出展しました。そして今、皆さんに、ことに農業者に“テスト(モニター)となって下さる方を募集”しています多数の方の参加をお待ちしています。

 

8.農業革命を起こすか、海水利用!?〜3高農業の実現〜

今回作った液肥は、協会ニュースでは発酵促進用となっていますが、『陸のミネラル』と『海の栄養』をブレンドしていますので、当然、葉面散布・灌水利用としても使えるよう調整しています。海水利用の効果として『発酵肥料の作り方・使い方』農文協 著者 薄上秀男氏『天然発酵液』『微量要素材』であり『天然の防除材(予防材)』『天然の体質強化剤』『天然の生育促進剤』などの多用途剤と絶賛していますが、農業用資材としては『陸のミネラル』を利用し、驚異的な3高〜高収益・高収穫・高品質が実現しています。ミネラルが光合成を促進し、硝酸体窒素を低減させ、防除効果を持ち、土壌改良し、減農薬農業が実現していますので、本試作品は農業用資材として、陸と海の“良いとこ取り”の資材と期待しています。

  ◎ 含有栄養素

リチウム、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、ケイ素、リン、窒素、炭素、水素、酸素、硫黄、塩素、カリウム、カルシウム、チタン、パナジウム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ゲルマニウム、セレン、ルビジウム、ストロンチウム、モリブデン、バリウム、タングステン、ホウ酸B、その他有機質

なお、海水や『深層水』については当協会理事である高橋正征先生 監修『よくわかる海洋深層水』コスモトゥーワン刊 大野正夫先生(共著)『体に効く 海洋深層水パワー』角川春樹事務所刊 に詳しいので、ぜひ御参照ください。

 

9.海藻添付農業改革!!を完結させたい

私たちが最も期待している海水利用は、さらに海藻を加えることです。すでに海藻ミネラルであるアルギン酸を微生物増殖材として売り出しているところがあります。また、海藻液肥散布によって硝酸体窒素を削減したというデータも発表されています。1〜8における『海水+陸のミネラル』に液状海藻をブレンドすることで、ベストな発酵促進剤及び成長促進剤を海から陸に提供することができるでしょう

 

なお、発酵促進剤は有機肥料等と違い、現状では法律的な届出を必要としておりませんので、海藻類がもっとも手軽に使用できる利活用であるといえます。

以上
齊藤浩