海の森づくり推進協会ニュース

No4 2002年9月21日
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今回も国会(農林水産委員会)での「海の森づくり」についての質疑応答です!

16 号 平成14611日(火)

山田(正)委員
 大臣、ちょっと私、ほかのことを聞こうと思っていたのに、時間が随分来てしまったんですが、これ以上この問題でするつもりはありませんが、いわゆるEUの回収価格制度というもの、これと日本の調整保管とは制度そのものが全く違って、EUは直接、漁業者そのものから漁業組合等々を通じて買い入れしているという事情があるということ、それも同時に調べていただきたい。

 それからもう一つ、EUでは、指標価格をもとに参考価格制度というのがまだ現存していて、そして輸入価格に対して参考価格を下回るようであったら、いわゆる輸入をストップする。
  また、量においても、それぞれの魚種において量が決まっておって、それを超えて入るようだったら、クオータ制がとられておって、輸入をやはりそこで制限する、そういういわゆる輸入価格についても十分な措置がとられている。
  このことも、まあきょうは時間がないので聞きませんが、いわゆる価格安定制度に加えて、輸入の問題についてもそれなりの厳しい規制がとられていて、漁業者が生産に安心して従事できるようになされているという事情、これは十分調べていただきたい、そう思います
そこで、次の質問に移りたいと思いますが、実は大臣に質問通告しておったんですが、魚価が低迷しているのと同時に、今日本では非常に漁獲量がどんどん減ってきている。いわゆる資源が減ってきた、これはどこにあるのか、その理由ですね。

 それについて、実はお隣の中国で、二百海里の面積が日本の四分の一しかない、ところが、今中国は、日本の約七倍、四千二百万トンの漁獲量を上げるようになった。それは内水面も幾らかありますが、海面だけでも日本の四倍は少なくとも水揚げするようになってしまった。
 どうして中国はどんどん水産漁獲高がふえていき、かつ日本は減ってきた、いわゆる六百万トンにまで減ってきた、その理由なんですが、実は、時間がないので私の方から話しますが、これについて大臣に資料としてお配りし、ぜひ読んでいただきたいと、いわゆる北海道大学の水産学博士、境一郎氏の昆布についての朝日新聞に載った論文があります。

 これによりますと、中国は、ちょうど海面の水揚げ高、これが、昆布の養殖、もう南の台湾海峡まで昆布の養殖を、もともと中国には天然のものはなかったものを、北海道の昆布の種糸をもとにして養殖を始めたようですが、今やその昆布の養殖が二倍になったら海面漁獲高が二倍になり、三倍になったら三倍に、四倍になったら四倍になったというふうに、非常に資源の回復に大きく役立った、そういう論文があるわけです。

 大臣、日本は逆に、いわゆる魚礁、コンクリート魚礁を次々に投げ入れて、そして護岸工事を、コンクリートでどんどん固めていった。いわゆるいそ焼けが進んでいくような状況をどんどんつくっていって、それで資源がますます少なくなってしまった。逆に、中国では、まさに昆布の増養殖を図ることによって、生きた魚礁、いわゆる魚の産卵場そして揺籃場、それを大々的につくっていった。この効果は大きいと思われるが、大臣、ぜひ論文を読んでいただきたいと前もって渡しておいたと思うのですが、読まれたかどうかわかりませんが、どう思われるか。

武部国務大臣 これは読ませていただきました。
 私は、特に昆布の森ということについては、これは読ませていただきましたけれども、長崎も昆布とれるんですか、五島列島も。

山田(正)委員 台湾海峡まで今昆布養殖できていますから、向こう、南の海でも、鹿児島までは十分、昆布は三、四メートルまで成長できます。

武部国務大臣 いや、なぜこんなことを私が尋ねるかというと、我々北国ですから、沖縄の人たちも昆布を食べますけれども、ほとんど根室や日高昆布なんですね。昆布がとれるんだったら、昆布の養殖、これは今は簡単にできる状態になりましたから、南の国でもやればいいのになと思っていたんですが、これは海流の関係だとか海温の関係だとかで難しいのかというふうに私は思っていました。
 

これは、このことに注目してもう少し勉強したいと思いますが、私はやはり、豊かな海づくりということは、これまでのさまざまな漁法も含め、あるいは魚礁のあり方も含め、深い反省点に立ってやらなくちゃいけないと思っています。
  例えば、海岸保全事業なんかは、これは海の沿岸の静穏度を高めることをやれば瞬く間に魚礁ができるんですよ。それで、昆布等の生息や、そこに魚族資源が卵を産んだりすることができる。海ほど耕せば変わるところはない、こういう一つの考え方を持っております。

 今までは、天然の魚礁も、オッタートロールあたりに全部平らにされて、でこぼこ、海の中にある魚礁や山が真っ平らにされてしまっているというような、そういう漁法はこれからはやはり避けていかなきゃならぬ、こう思いまして、そういう意味では大変大事なことだと、海の中の森づくり。遠藤副大臣は、森と海は命のふるさと、こう絶えず言っておりますけれども、私は、やはり海というのはこれから非常に大事なところだと。

 そのために、公共事業というとすぐ悪者扱いされますけれども、自然再生型の事業あるいは環境創造型の事業、資源増大型の事業というものはたくさんあるわけでありまして、佐藤謙一郎先生にも現地を視察いただきまして、漁民がどういう努力をしながら豊かな海づくりをしているかということについても、ぜひ御理解をいただくようにお願いしたい、こう思っております。  

ただ、この昆布のことについては、私は、南の海で本当にこんなにとれるのかと。それから、中国のこの実績ですけれども、もしこれが事実だとすれば大変なことだな、すごい勢いで中国というものは漁業の生産拡大をしているんだな、それは那辺にあるのだろうということと、もう一つは、本当にこの数字というのは耳を疑うような数字でもありますので、事務当局にも、きちっとどういう背景があるのか、そういったものも調査して、我が国としても参考にすべきは参考にする必要があるということを申し上げております。

山田(正)委員 大臣、南の海の方で昆布がとれるのかということですが、私の地元の長崎県で、島原の方ではもう三十年来昆布の養殖をやっておりますが、四十トンほどとっております。それで、昆布は、私も昔から注目はしておったんですが、十分生産可能であります。  ただ、そうすることによって、今話したように、今の水産予算で、魚礁等を、コンクリート魚礁を幾らほうり投げても砂に埋もれてしまったり、ほとんど効果がないと僕は思っております。それよりも、生きた意味で、海の中の昆布の森づくりをと。

 ことしもまた、沿整事業というか、漁港漁場整備事業でかなりのお金を大臣使われるわけですが、単なる公共事業として土建業者をもうけさせるだけではなく、いわゆる本当に生きた意味で、漁業者にとって資源回復につながるようなもの、これを大臣、このごろ農水省ではかなりきつくいろいろな行政の指導に当たっておられると聞いておりますので、ひとつぜひ水産庁も大臣の一声でそういう方向でやっていただければと、そう思います。
  また、六月六日の読売新聞に、森林整備に一兆円必要、京都議定書を達成するためにと。いわゆるCO2、炭酸ガスを固定化するために、三百四十万トンの炭素を固定化するために、毎年国の林野事業予算約二千八百億円を四割以上上積みして、約十年間で一兆円は京都議定書を達成するためには必要であるという記事が載っております。これは、私、大臣にも資料としてお配りしたと思いますし、委員の皆さん方にもお配りしたと思います。

 この昆布の森は、非常にこれはおもしろいと思うのは、いわゆる熱帯雨林の倍CO2を吸収する、そう言われておりますが、境博士の説によると、北海道ぐらいの面積に仮に昆布をつくったとしたら、それだけでいわゆる京都議定書に言うCO2の不足分を補うことができるのではないか、そういう論もあるわけで、ぜひCO2対策、温暖化対策、それについてもこの昆布の森構想ということは真剣にとらえていただければと、そう思います。

 資源回復事業計画についてもいろいろ聞きたかったのですが、ちょっと時間が来てしまいました。どうか大臣、副大臣とも、ひとつ水産行政においても、単なる農業だけではなく、いつも水産はどこかにほうりやられておって大変日の当たらないところなんですが、ひとつ思い切って、魚価安定制度から今言ったいわゆる資源回復のための昆布の森構想まで真剣に考えて、大してお金がかかるわけじゃありませんし、ひとつ具体的にやっていただければ、それこそ名大臣、名副大臣と言われるんじゃないか、そう思いますので、よろしくお願い申し上げます。  終わります。 

豆情報

  NPO「アマモ種子バ ンク」設立発起人会が9月6日、大阪で開かれ、NPOの設立およびその設立総会を 10月1日に開催することを決めました。設立発起人代表は大阪産業大学・椹木教授
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