特定非営利活動法人
海の森づくり推進協会
設立趣旨書

中国では大昔から漢方の原料としてコンブを珍重し、日本から輸入しておりましたが、昭和に入って、日本の専門家の指導でその養殖が始まりました。それを中国政府が引き継ぎ、北は遼東半島から南は福建省までの1,300kmにわたる広大な海岸線で大規模にコンブ養殖が行われるようになりました。このコンブ等の海藻の森は、魚介類の産卵場や稚魚の保育場となり、その増殖効果により中国は世界最大の漁業国になりました。一方、日本沿岸では、『磯やけ』と呼ばれる海の砂漠化現象が各地で起こり、沿岸漁業の不振に繋がっており養殖技術が確立している大型海藻コンブは、人工的に管理し易いのみならずその成長も速く、窒素や燐などの栄養塩の吸収による赤潮や富栄養化の防止と熱帯雨林以上という二酸化炭素の吸収力による地球温暖化防止に役立ち、健康食品、医薬品、餌料・有機肥料・農薬や工業原料等として広く利用され、エネルギー源としても期待されています。また、ミネラルバランスにすぐれたコンブ等の海藻が、過剰な化学肥料・農薬投与等で壊された陸域生態系修復の鍵とも言われております。

私たちは1994年の鹿児島県東町での実験により鹿児島以北の日本でのコンブ海中林造成の可能性を実証し、以来宮崎県、千葉県、石川県、愛媛県、静岡県、長崎県、熊本県等日本各地で小規模実験を普及すると同時に、2000年には『コンブで海中林を造ろうの会』を結成し、国の行政政策として取り上げられるよう講演や宣伝活動を行ってきました。他方、農林水産公共事業が、地域住民参加を尊重し都市住民との交流推進を指向する『自然と共生する環境創造型事業』へ転換することになり、水産庁はその一環として『海の森づくり』と呼ばれる藻場・干潟や海中林造成を推進することになり、平成14年度(2002年)に予算180億円を計上しました。しかし、大半の地区ではこれをどのように推進してくべきかのノウハウもなく、戸惑っております。

『コンブ等海藻による海の森づくり』のために必要な諸技術は、各地の漁民や研究者により蓄積されています。私たちは産官学民の叡智を結集しネットワーク化を図り、それら蓄積された各種技術を効果的に収集・整理し、そのノウハウを全国に普及し、海の森の様々な効果や影響に関する基礎研究を進め、環境対策や食料対策、さらに持続可能なまちづくり対策として地域住民の自助努力による『海の森づくり』と収穫物の利活用を図り、地域毎の独立採算制に基づく事業化に向け木目細かな指導をする特定非営利活動法人『海の森づくり推進協会』を設立することになりました。

21世紀という海洋の世紀の開幕に当たって、私たち『海の森づくり推進協会』は、「国土の十数倍(約450万ku)に及ぶ日本の200海里排他的経済水域は、我が国が“海”の環境や水産資源を維持・保全する責務を負う水域である。」と考え、『海の森づくり』から得られる素晴らしい財産を漁業者は基より、農業者・林業者・都市市民と共有し、その適切な利用を通して海と森と里と都市を結ぶ循環型地域づくりや食料の安定供給・自給率の向上に寄与していきます。また、水産増殖並びに環境対策や持続可能なまちづくり対策の有力な技術の一つとして、私たちは『コンブ等海藻による海の森づくり』の輪を世界に広げて行きます。

平成1477

特定非営利活動法人   海の森づくり推進協会

設立代表者   住所 鹿児島県鹿児島市鴨池新町2510-706

氏名 松田 惠明

  


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