「ブルーカーボン時代」における本協会からの要望と政府・諸官庁からの回答

                            
2021年1月
海の森づくり推進協会
副会長理事 門脇 秀策
幹事長理事 原口 博光

 
 (一社)木の総合文化・ウッドレガシー推進協議会は20201113日、衆議院第一会館1階多目的ホールで第4回要望活動発表会を開催し、政府・諸官庁に対する各企業・団体からの要望についての提言を行い、ウッドミック(2020.12.1)No.453に掲載されました。海の森づくり推進協会は、発表会で等協会の特徴や活動を説明し、要望の機会を得、諸官庁から1221日に回答を頂いたので報告する。
1.海の森づくり
 当協会は、藻場造成の研究を1990年代から開始し、2002年にNPO法人「海の森づくり推進協会」を設立し、地域振興と人類地球の危機対策として、「海の森づくりモデル」に挑戦している日本で唯一の全国組織です。創始者の境一郎先生は、日本の沿岸漁業や養殖のあり方に疑問を抱き、どんな迫害にもめげず漁村の活性化のために海の森づくりを実践されました。海の森づくりは、その実相(すがた)に共感した人が参集して誕生しました。昨年、NPO団体から任意団体に改組して会員が自由に連携して活動しています。
 その活動基盤は、コンブやワカメ、アカモク等の大型海藻の栽培養殖によって、磯焼けを防ぎ、多様な生物が産卵し、稚魚が育つ揺りかごとなる藻場を再生するために、コンブやワカメの種糸を18年間継続して、全国41カ所に斡旋しています。
 海藻は成長が早いため、コンブの藻場は杉林の4.5倍ものCO2を吸収します。沿岸で一年間に吸収される「ブルーカーボン」は、最大404万トンと推定され、そのうち海藻は約80%を占めています。
 今後、藻場を拡大・保全することによって、海は陸以上にCO2を吸収する可能性があり、910万トンの「ブルーカーボン」をオフセットできると、注目されています。
近い将来、我が国に「森林環境目的税」が導入されます。森林による「グリーンカーボンオフセット」と同様に、当協会は、海藻による「ブルーカーボンオフセット」で沿岸養殖の地域振興を推進するべく、環境省をはじめ、関係各省庁の理解と支援を要望しているところです。
 SDGsに明記されている「海の豊かさを守ろう!」、「産業と技術革新の基盤をつくろう!」、そして、「気候変動に具体的な対策を!」のスローガンに添って、本協会会員の皆様が連携して、課題解決できる情報の意見交換と実践活動ができることを期待しています。

2.複合エコ養殖による海の魚づくり
 複合エコ養殖とは、給餌養魚に伴う糞尿や残餌を利用して、海藻類(コンブ・ワカメ・アカモク・アオサ)や貝類(アワビ・ウニ)、底生生物(ナマコ・エビ)を共生させて養殖する形態のことです。浅海養魚場の周辺で周年栽培する海藻は、養魚の排泄中の窒素・燐の栄養塩やCO2を吸収して成長し、養魚にO2を供給し、病原菌や赤潮も抑制する効果がある。
海藻は草食性魚貝類の餌となり、ナマコは植物性の排泄物を好んで食べるので、海底を浄化しながら持続的な養殖が可能であり、高い利益をもたらします。海藻と魚と貝と底生生物の四位一体の複合養殖は環境に優しいエコロジーで、かつエコノミーな環境保全型の複合エコ養殖といえます。
 環境保全型複合エコ養殖は、有用資源をリサイクルし生産性を向上するEcologicalEconomyな物質が循環するゼロエミッション養殖です。自家汚染を防いで、給餌養魚場における持続的な養殖生産を確保するために、水質保全のSDG指標として、適正な養魚面積・生産量(F)/海藻面積・生産量(S)比を提案しています。

3.海の人づくり
 生態系の原理に基づいたコンブなどの大型海藻による海の森づくりによって、磯焼けを防ぎ、多様な生物が産卵し、稚仔魚が育つ「揺りかご」となる「藻場」を回復し、沿岸域の環境を改善・保全し、魚介類の増養殖を図ることは国民・市民・地域の願いです。
 本協会は、食糧産業、特に養殖産業の人づくりと食づくりの両面で、小中校生の初等科教育の課程から、「沿岸域の環境保全」や「循環社会の仕組み」を学ぶ「公開セミナーの機会」や「体験学習の現場」を提供し、環境教育(環育)と食糧教育(食育)の両面から、国家百年の計を立てる「海の人づくり」に貢献できる唯一の全国組織ネットです。
 本協会は昨年以来、令和(Beautiful Harmony)の新世に「海の人づくり」の推進協力を環境大臣に要望してきました。近い将来、我が国に「森林環境目的税」が導入されるお聞きしています。森林による「グリーンカーボンオフセット」と同様に、海の森づくり推進協会は、海藻による「ブルーカーボンオフセット」で、沿岸養殖の地域振興に貢献します。また、本協会は「海の環境保全」と「生態系の仕組み」を学ぶ公開セミナーや体験学習を提供して、藻場づくりをベースにした食糧教育(食育)と環境教育(環育)の両面から、海の人づくりに貢献できる全国ネットの役割を果たして参ります。
 今後、森林環境目的税が導入されれば、山(グリーン)と海(ブルー)を循環するカーボンオフセット財源の一部に充てるべく、環境省を始め、農林水産省、文部科学省、国土交通省、経済産業省の関係省庁のご理解とご協力、そして経済支援を賜りますよう要望致します。
 
海の森づくり推進協会の要望事項1(WOODMIC(2020.12.1No.453, p11
1.海藻類を主とした生物資源を通じた環境教育の提言・解説書の刊行と普及
  生物資源の生産と地球環境の関係を光合成、酸化と還元の循環により成る冊子を作製し、先入観のない初等教育の糧とすること。
→ 水産庁研究指導課・整備課より、回答をいただいた。
2.環境保全型複合エコ養殖モデル実験:レビュー・実行・選択・普及
  日本における食糧産業、特に養殖産業の人づくりの中で、複合養殖は小中学校の初等教育に対する環境保全教育と体験学習に取り入れたい。
→ 水産庁栽培養殖課・研究指導課・整備課より、回答をいただいた。
3.環境保全型複合エコ養殖モデルを使った「海の森づくり」初等教育の実践
  「海の森づくり」初等科教育を提案すること。
→ 水産庁研究指導課より、回答をいただいた。
4.森林環境税の活用:「海の森づくり」
  森林環境贈与税を、コンブなどの大型海藻による「海の森」に対しても使えるようにすること。
→ 林野庁森林利用課より、回答をいただいた。
5.海洋牧場・複合養殖の推進
  地球温暖化対策に資する藻場の造成と複合養殖の推進への支援策について。
→ 水産庁整備課・計画課・栽培養殖課より、回答をいただいた。
6.日本の水産資源倍増計画(東京水産振興会「水産振興」第400号:日本の水産資源を倍増するために-コンブは地球を救うー)に対する調査費
 海中林養増殖の全国展開による日本の水産資源倍増のための海中林造成の基礎研究と地球
温暖化対策並びに海藻利用の基礎研究を行うこと。
→ 水産庁栽培養殖課・研究指導課・整備課より、回答をいただいた。
 
 
 
 
 
 

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